対談の様子
SPECIAL TALK · 特別対談

今、西武グループが健康経営に取り組む理由

社員が心身ともに健康でいられる意味とは

株式会社西武ホールディングス代表取締役社長 社長執行役員兼CEO兼COO西山 隆一郎
西武健康保険組合理事長飯田 則昭

西武健康保険組合は、2026年11月1日に設立80周年を迎えます。西武ホールディングスの西山隆一郎社長をお迎えし、西武グループの健康経営の現状と今後、健康経営に関して健康保険組合に期待すること、そして、ご自身の健康管理や社員の皆さまへのメッセージをうかがいました。

西武ホールディングス 西山隆一郎社長(左)と、西武健康保険組合 飯田則昭理事長(右)
西武ホールディングス 西山隆一郎社長(左)と、西武健康保険組合 飯田則昭理事長(右)
01
HEALTH MANAGEMENT

社員が心身ともに健康でいられる環境づくり、健康経営へ

飯田

西武ホールディングスでは、「健康経営宣言」を掲げ、その宣言のもと体制を整備し、あるいは戦略マップの策定などを進めていますが、どういった背景から導入に至ったのでしょうか。

西山

会社が持続的に成長して社会に貢献し続けるために健康経営が不可欠だからです。

私はよく「世のため人のためにグループがある」と言っていますが、西武グループの創業の精神も「感謝・奉仕」であり、それは現在のグループビジョンにも引き継がれており、今のグループも本当に世のため人のために活動していると思っています。そのためには、やはり原動力となる社員一人ひとりが健康でなくてはなりません。

健康というのは、体のみならず心もです。昔から日本では「病は気から」と言われてきましたが、今まさにその言葉が非常に重要な要素となっています。かつては「根性があれば何とかなる」という雰囲気がありましたが、現在はそういう状況にありません。

西武グループでは「健康経営」に以前から取り組んでいますが、昨今の健康志向もあり、改めて戦略の柱とするために健康経営戦略マップを導入しました。健康投資が、会社組織の活性化や生産性の向上にもつながることを可視化したのです。可視化することによって、役職員全員が共通の目的意識をもって、同じ方向へ進めるようにという思いもあります。

会社としても「最高のパフォーマンスに最高の処遇」ということで、賃上げも進めています。会社の大もととして、社員が心身ともに健康でいられる環境づくりが重要なのです。

多様な社員に向け健康経営戦略マップに基づいて取り組む

飯田

なるほど。日頃からグループトップとして発信されているメッセージからも、非常に腑に落ちるお話です。では、健康経営戦略マップに基づいて、現在はどのようなことに取り組まれているのでしょうか。

西山

具体的には、長時間労働の削減や休暇取得の促進に注力しています。それ以外にもメンタルヘルスケアとしてストレスチェックの実施や相談窓口の拡充、あるいは女性特有の健康課題についてのセミナー開催などがあります。

西武グループには様々な社員が所属していて十人十色なので、多様な社員が安心して働ける環境づくりを進めているということです。

施設環境の整備を例とすると、ダイヤゲート池袋のようなオフィス環境では、一般的なオフィスエリアとは少し離れた場所に、集中して仕事ができるボックスのような設備を設置したり、食堂や喫茶についても稼働時間帯は利用できるようにしています。

また、西武鉄道本社ビルでは、1階の喫茶エリアが最近のリニューアルで格段に改善され、社員が発表会をするために利用したり、ゆっくりできるようになっています。全く同じようにはできなくとも、こういった考え方がグループ全体に広がっていくとよいと考えています。

西武ホールディングス 代表取締役社長 社長執行役員兼CEO兼COO 西山 隆一郎
西武ホールディングス 代表取締役社長 社長執行役員兼CEO兼COO 西山 隆一郎

健康保険組合と人事部門の連携が生む成果。今後は楽しんで取り組める仕組みづくりを

飯田

今いくつかの具体例を挙げていただきましたが、それぞれ成果はどのようなものがありますか。また、その中から新たな課題が出てきているのでしょうか。

西山

成果は数字に表れており、特に特定保健指導は実施率80%を達成することができました。

特定保健指導は、法律上は健康保険組合が主体となって実施するものですが、当社では西武健康保険組合と人事部門が密に連携して、車の両輪のように動いているのが特長です。これが原動力となって、実施率80%という成果を上げることができたと考えています。

一方で課題となっているのは、運動習慣率です。運動習慣率の目標は60%ですが、まだ現状とは大きな乖離があります。デスクワークが多い職種があることもあり、少し苦戦している状態です。

そこで昨年は西武健康保険組合と連携して、健康管理アプリ「Pep Up」を活用し、ウォーキングイベントを初めて開催しました。今年度も、当社内でチーム対抗のウォーキングイベントを開催するなど、社員が楽しみながら体を動かせるきっかけづくりをゴールに取り組む予定です。

こういった課題に対しては、ダイレクトに「やれ!」と伝えるよりも、いわゆるナッジ理論で文字通り「ひじで心理的にちょっとつついて自然に楽しんでやれるよう」何か工夫を導入する方が、コストが安いとされています。実際に、ウォーキングイベントでも各部署が張り合っていて、ライバル部署の歩数を確認しては「誰がこんなに歩いたのか」など盛り上がって、競うように歩いたと聞いています。課題解決に向けて、こういったモチベーションを高められる仕組みづくりが大事だと思います。

生活応援企業としてお客さまに選ばれ続けるため、最後は「支える人」が大事

飯田

西武グループ全体としての健康経営推進に取り組まれていますが、その背景はいかがでしょうか。

西山

西武グループの生業は鉄道やホテル、レジャー、不動産、そのほかの事業でも球団や遊園地があるなど多種多様で、まさに生活応援企業グループたるゆえんです。それらを支えているのは、安全とサービスです。そしてそれを支えているのは、当社の場合は人です。

例えば工場があって機械で生産してヒット商品を作るのではなく、すべて人が営んでいる事業なので人で成り立っているということです。当然DX(デジタルトランスフォーメーション)も活用し、人とDXのコラボレーションが大事なのですが、最後に支えるのは人なのです。

人を通じて生産性を最大化し、お客さまに選ばれ続け、繰り返しご利用いただき、お客さまを引きつけて離さないために、私たちは人とDXを駆使しています。しかし、その根底で最も重要なのは「人」です。ゆえに、人の健康、健康経営はグループ経営の基盤と考えています。

つまり、お客さまに選ばれる最良の企業集団を目指すという決意が、健康経営推進をグループ全体に広げていくことの背景にあります。

最後には人が大切です。ゆえに、人の健康、健康経営はグループ経営の基盤です
「最後に支えるのは人」。人とDXのコラボレーションについて語る西山社長
「最後に支えるのは人」。人とDXのコラボレーションについて語る西山社長

健康経営推進会議で現場の課題と専門の知見を突き合わせ、実現性の高い策を

飯田

西武グループとして健康経営推進会議に取り組まれていますが、その意義について教えてください。

西山

私は健康経営推進会議を非常に重要だと考えていますし、重要になっているとも聞いています。

健康経営推進会議は、西武健康保険組合とも密に連携でき、定期的にお互いに確認し合える重要な場です。

現場の課題と、専門の知見を突き合わせる場であり、それによって実現性の高い策が生まれると考えています。今後もグループが一体となる推進エンジンとして、健康経営推進会議を機能させていきます。

02
EXPECTATIONS

健康保険組合は社員が万が一の時に医療を受けるための最後の砦

飯田

当組合には、大きく分けて保険事業と健康事業の2つの事業があります。保険事業とは、通院などに際しての保険給付、あるいはそれに伴う組合への加入・退会手続きなどを行うものですが、これについて期待することはあるでしょうか。

西山

保険事業は、社員の皆さまが万が一の時に安心して医療を受けるための最後の砦なので、極めて大事だと考えています。これまで迅速かつ正確な給付はもとより、蓄積されたレセプトデータの分析などを通じて、どのような疾患が多いかなどの傾向をフィードバックしていただいています。データに基づいた予防策を講じることで、将来的な医療費の適正化にもつなげていきたいと思います。

飯田

データ利用の整備は、国全体で進めているところですが、個別の予防策まではまだ実現できていないので、サポートに利用できるツールなども活用しながら進めていきたいと考えています。

まず、レセプトデータからわかることを社員(被保険者)、ご家族(被扶養者)の皆さまにいかにフィードバックできるかというのは、我々の大きな課題の1つと認識しています。

西武健康保険組合 理事長 飯田 則昭
西武健康保険組合 理事長 飯田 則昭

利便性や効率が高いICTツールを活用して、楽しみながら健康行動をするように

飯田

健康環境の整備の役割については、ここ数年健康事業として当組合が引き受け、事業所を通じてご本人(被保険者)、ご家族(被扶養者)の皆さまに健康環境を利活用いただく棲み分けで進めています。ICTツールでは、ウォーキングラリー機能を備えた健康管理アプリ「Pep Up」、健康情報のポータル、入り口となる「健康エール」、健康相談・オンライン診療機能を備えた「HELPO」の3つを整備しています。ICTツールを活用した取り組みについて、どのようにご覧になりますか。

西山

ICTツールの活用は、極めて利便性や効率が高いので、今後もより発展させていきたいと考えています。

また、「Pep Up」でのウォーキングラリーは、楽しみながら自然に推進できるメリットがあります。これは本当に大事なことで、先ほどのエピソードにもあったように職場内のコミュニケーションの活性化にもつながっている点も素晴らしいと思います。

私自身もICTツールの利便性は実感しています。いつでもどこでも自分の健康状態を把握でき、専門家に相談もできる「HELPO」のようなツールは、忙しい社員にとっても非常に心強い味方になるのではないでしょうか。

ただ1つ課題としてあるのは、まだこういった施策がすべての社員に浸透しているわけではないということです。せっかくいい取り組みやICTインフラがあるのですから、しっかり周知を進めていきたいと考えています。

いずれにせよ西武健康保険組合には、今後も各社と協力して、こういったプラットフォームをさらに活用し、社員が楽しみながら自発的に健康行動をするような仕掛けを期待しています。

飯田

「楽しみながら自発的に」というのはキーワードですね。

西山

そうですね。「苦しみながら、追い詰められて」となると、今度は違う病気になってしまいかねません。

飯田

今のお話にあった、ICTツールの周知・浸透ということでは、私たちはまだやれることがあるはずだと考えています。

例えば、いろいろな方が「こんなことができますよ」「こう使っていますよ」と実例を紹介するようなことも必要だと考えています。その際にはぜひ、西山社長にも登場していただきたいと思います。

未病の段階でのアプローチ強化や、より現場に踏み込んだサポートを期待

飯田

そのほか当組合の健康事業に関して期待されることはありますか。

西山

今後は、病気になる前の未病の段階でのアプローチを強化していただきたいと思います。つまり、病気ではないが、健康でもない段階に、何かシグナルがあればすぐアプローチできる、あるいはシグナルがなくても気だるいなど、ちょっとした自覚症状がある時です。健康診断では問題がなくても、そういった未病の段階で芽を摘むことに注力していただきたいと考えています。

現在、健康診断の結果に基づく特定保健指導が順調に進んでおり、今後はそのさらなる充実が重要です。具体的には、各事業所の特性に合わせた独自の講座などが挙げられます。事業によって労働環境が大きく異なるため、一律のプログラムでは十分に対応できません。多様なビジネス環境を持つ当社だからこそ、西武健康保険組合には、より現場に即した手厚いサポートを期待しています。

西武健康保険組合の専門性と我々事業主のもつ現場力を掛け合わせて、西武グループ独自の健康文化を共につくっていきたいと考えているので、ぜひよろしくお願いいたします。

飯田

より現場に踏み込んだ取り組みというのは、非常に重要なテーマだと思います。

未病の段階でのアプローチ、現場に即したサポートへの期待
未病の段階でのアプローチ、現場に即したサポートへの期待
03
PERSONAL CARE

健康管理として心がけているのは睡眠時間の確保と食事のバランス

飯田

西武ホールディングスの社長として多忙を極める毎日かと思いますが、ご自身の健康管理に関して、心がけていることなど教えてください。

西山

仕事に波はありますが基本的に分刻みのスケジュールになっているので、どんな状況でも睡眠時間の確保と食事のバランスには気をつけています。

食事は、もう13年、ほぼ野菜だけの朝食を続けています。きっかけは2013年の健康診断での血液検査の脂質やコレステロール値の大変な悪化です。当時、ある案件があり、広報部長として異常な忙しさが半年ほど続き、夜も毎日のようにメディアの方々と飲んで帰る生活でした。ストレスも知らず知らずのうちに蓄積していたのだと思います。これはまずいと野菜だけの朝食を始めたのです。

野菜は決まっていて、フリルレタスやカイワレ大根、ブロッコリースプラウト、ミニトマト、メカブなどに、たまにご飯と納豆が加わります。そしてヨーグルト、最後に生の国産レモンを絞って炭酸水で割ったものをすべて自分で準備します。

これは持論なのですが、自分で決めたルーティンは自分で完結しなければなりません。野菜の準備も家族に頼めば、その人の義務となり、長続きしなくなります。そういう理由から、週末に自分でスーパーに行って取りそろえ、1週間分を用意しています。

またドレッシングを工夫したりして13年間続けていることから、血液検査の数値も一進一退ではありますが、何とか改善しています。

2023年4月の社長就任後は、睡眠時間の大切さを痛感しています。以前、特にコロナ禍前は仕事柄、午前様で翌日這いつくばるように会社へ行き、必死で仕事をするような生活でした。しかし、社長という立場になると、会議など日中のスケジュールが非常に過密なため、十分な睡眠が不可欠です。十分な睡眠時間を確保することで、翌朝すっきりと冴えた状態で仕事に臨むことができます。

飯田

睡眠時間と食事バランスを続けているというのは、やはり意志の力が大切だと思いますが、くじけそうになるような経験はないでしょうか。

西山

私はもともと1つのことを続ける性分なので苦ではなかったです。それと、決して無理せず、メリハリをつけています。例えば体調がちょっと悪い時や疲れた時は野菜を減らしたりと、ある意味サボりながら続けています。

逆に出張や海外旅行の時はルーティンを解除します。「今日は朝から好きなもんを好きなだけ食べるぞ!」と自分を解き放ちます。だから出張も心の中で楽しみながら行けて、朝食のアクセントにもなっています。

13年続く野菜中心の朝食。「無理せず、メリハリをつけて」
13年続く野菜中心の朝食。「無理せず、メリハリをつけて」
04
GREETING

「はたらく人を、ほほえむ人へ。」西武グループを日本一健康で活気ある企業集団に

飯田

最後に社員の皆さまが健康に働くためのメッセージをお願いいたします。

西山

西武グループの最大の資産は人です。「でかける人を、ほほえむ人へ。」が西武グループのスローガンですが、その表裏一体で、内部の健康スローガンである「はたらく人を、ほほえむ人へ。」を実践することが大切です。その大もとになるのは社員の皆さまとご家族一人ひとりの心身の健康なのです。

家族の誰かが病気になれば心配になって当然のことですし、場合によってはかかりきりになることもあるでしょう。やはり家族みんなが明るくいることが、会社でもはつらつと活躍できる基礎だと思います。皆さまとご家族が健康で笑顔で働いていることが、ひいてはお客さまに最高の感動を提供するおもてなしにつながります。ホテルも鉄道も不動産もライオンズもバスも、他もすべて、お客さまに夢と希望と感動を提供する原動力は、心身の健康からくる笑顔だと思います。

会社としても、その環境を構築するべく全力でサポートしていきますので、ぜひ社員の皆さま自身も、体は自分のもの、あるいは仲間やご家族、大切な人のためにも健康を第一に考え、実践していただきたいと思います。そして、健やかに働ける職場環境の実現です。一日の大半を過ごす場所だからこそ、全員が心地よく働ける環境を、みんなで共に築いていきたいと考えています。西武グループを日本一健康で活気ある企業集団にしていきたいという思いでいっぱいです。

お客さまに夢と希望と感動を提供する原動力は、心身の健康からくる笑顔だと思います
池袋の街を望む西武ホールディングス本社にて
池袋の街を望む西武ホールディングス本社にて
END OF SPECIAL TALK